私は絵描きでよかった。
悶々とした実に難解な自分の内面を外に表現・伝達する 手段が、
言葉以外にあってよかった。
幾重にも服を着込んで、幾重にもマスクをかぶり、
自分の感情の原型は、もはや自分自身でさえも見失う寸前。
ところが、 絵筆を手に取ると、私の原型が姿を見せる。
普段絶対に表面には出さない、
人間らしい汚い感情、強い理想と欲、哀、苦。
吐き気がするほどそれらが湧いてでる。
こうして実に人間くさくなった私は、
恥じることなくハダカになって絵の具たちと一体化する。
不器用な私が絵描きでなかったら。
言葉でしか自分の内面を表面かできなかったら。
…大破だ(笑
私は絵描きでよかった。
いや...もしかしたら絵描きでなかった方が、
表現の苦悩から解放されて、
楽な人生だったかもしれないけれど(笑