月刊ARTcollectors(アートコレクターズ)の6月号「女とは?」(2013年5月25日発売)のクローズアップコーナーに掲載いただきました。
掲載にあたり、インタビューにて自分の制作コンセプトや個展によせる想いをお話しました。
拙いトークであったにもかかわらず端的に記事にまとめていただきました。
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↓↓ 以下、掲載記事文面 ↓↓
「女性の美しさを描きたいわけじゃないんです」。そう語る古河原は、女性がさりげないポーズや表情をみせた瞬間を、スピード感溢れるタッチで鮮やかに生け捕り、キャンバスに定着させる。その一瞬には、次なるステップへの期待や予感が秘められ、鑑賞者の目線を画中へと引き寄せる。
「私が表現したいのは、人間の内面に在る宇宙です。そこには、なまなましいまでのエネルギーが、混沌として渦巻いています。それが苦悩や絶望だったとしても、そこで終わらせたくない。人間の内に満ちるあらゆる欲を、ネガティブなものとして抑えるのではなく、受容し、抱きしめることで、希望ある未来へと繫いでゆきたいのです」
〝清い欲〞。
その欲望を、彼女はそう呼んでいる。
大学の卒業制作「つちくれ」は、彼女にとって記念碑的な作品だ。ドイツのアウシュヴィッツ収容所での体験記『夜と霧』に大きなショックを受けた彼女が、「人間の存在とは?」という問いかけをキャンバスにぶつけ、無心に筆を走らせて描いた初めての大作だ。原点となる「つちくれ」から10年以上が経ったいま、テーマは同じでも作風はだいぶ変化した。モノクロームだった画面は、色彩豊かになり、ざらざらしていた絵肌は、フラットな部分と触覚的な部分が入り交じった絵肌に変化した。その抑揚の効いた質感と複雑な色面構成が女性の背景に置かれ、女性のフォルムとせめぎ合うことで、求心力とメッセージ性は格段に強まった。描写も以前は細密的だったが、最近は適度な簡略化によって、線に一層の生命感が宿り始めた。素描をそのままタブローにしたような、鮮度と息づかいが伝わってくる。
今回の初個展では、これまでに制作した作品と新作が合わせて展示されるという。古河原泉の等身大の「欲望」と「希望」のかたちが表現されるだう。