<目次>
Episode1.この生き物、何?
Episode2.幻の生物から、リアルボルゾイへ
Episode3.描く。彼らのブレない感情に筆を動かされる(作品紹介)
Episode4.ボルゾイ!(最後に/フォトギャラリー)
Episode1.
この生き物、何?
幼い頃、不思議な生き物が散歩をする姿をたまに見かけた。
それは白くて細くて、独特の空気をまとうとても大きな生き物。
一見犬のようで、…でも細長く通った鼻筋や立ち居振る舞いは白馬のよう。
犬ではないな。馬?馬でもない。
それがボルゾイだと知ったのは、学生になってから。
ボルゾイはロシア語で「俊敏」。
ロシア原産の大型犬で、名の通り大変足が早く、オオカミ狩りの猟犬としてロシア帝国の貴族に飼われていた犬種であることを知った。
ただし彼らが何者かが明らかになった後も、ペットショップでみかけることは皆無、年に1,2度偶然に道で見かける程度だっただめ、私にとっては幻に近い別世界の犬だった。
Episode2.
幻の生物から、リアルボルゾイへ
幻のような存在であるボルゾイという犬を、幻のまま想い続けた私に、もたらされた「縁」。
それは、2014年夏のはじめ、ある方との出会いから。
ブリーディングの歴史とジャッジ資格をもち、誰よりも彼らを愛し、彼らと心でつながっている、“本当の意味でのボルゾイのプロ”である方との出会いで、私は彼らの息づく暮らしに触れる機会を得た。
私にとって幻だった存在が、生(なま)の存在にかわった夏だった。
彼らの現実にまつわる苦楽あるエピソードもその方にたくさん教えていただいた。
聞きながら、そして生の彼らと関わりながら、
たくさん笑った。
驚いた。
心を熱くした。
泣いた。
しっぽをふって人に絡み付く“犬らしい”行動 をとらない一見ドライな雰囲気。
それでも警戒心を解いた相手に対しては子どものように擦り寄って興味を示したり甘える仕草。
彼らには、人と一定の距離感を保って接する不思議な雰囲気があり、その距離感の中で生まれる欲望や愛情のかけひきは、まるで人間の複雑な精神構造を想わせるものが秘められている。
ただ美しい外見をまとう憧れの存在ではない。
彼らは、人の内面を描くことがおもしろくて仕方がない私の表現欲を直球で刺激する生態だった。
彼らは、人間をも思わせる生暖かい体温のかたまりだった。
Episode3.
描く。彼らのブレない感情に筆を動かされる
ボルゾイが身近な存在になり描き始めてから現在に至るまでもうすぐ3年。
この経過の中で、自分自身のボルゾイにむけた思いや視点はだいぶ変化をとげたと実感。
その変化は表現に明確にあらわれる。
1.初期
この頃の作品は、これまで私が抱いてつくりあげてきた幻想の入り混じるボルゾイだった。
つまり固定観念からできた自分のボルゾイイメージと、生ボルゾイがせめぎあうような作品。
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2.半年がたち、なんだろうこの胸が痛くなる想い
彼らと出会って半年がすぎ、少しずつ彼らの視線や支えとなるゆるぎない何かがあることに気づかされた。
私はボルゾイたちを追い求めながら、彼らの体内に吸収されそうな、どうしようもない思いに突き動かされて夢中で描いていた。
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3.犬を描いていたけれど、結果私はそこに寄り添う存在を描いているのか
このボルゾイたちの視線の先、想いの先を追っていると必然的にたどり着くものがあった。
彼らの支えとなっている存在を明確に感じるようになった。
「視線の先・想いの先」である存在にむけて彼らが発しているメッセージは実にシンプルだった。
「あなたが大好きです」
Episode4.
ボルゾイ!
知れば知るほど魅力絶えない深みのある生き物として心に入り込んだ。
昔抱いていた幻想のような美のかたまりであった別世界のボルゾイは、私にとって今ではまったく別の存在。
美しい幻想ではなく、人間くさい感情をたくさんもっていてチャーミングで、愛すべき身近な存在。
私がそう感じるようになったのは、彼らと時間を重ねる中で「ボルゾイ」という代名詞ではなくて彼ら「個々」に心奪われ引き込まれていったからなのだろうと肌で実感する。
長年人物を描くことに関心偏っていた私が、はじめて人物以外の対象に強く心惹かれ、筆をとった2014年だった。
約3年、描き続けているボルゾイたちは、みんな10歳前後。
彼らも、私自身も生きている以上、時間は限りあるもの。
ゆるされる限り私はこれからもあなたたちを描かせていただきたい。
Hi Izumi,
I love your work! It is beautiful!
I had a studio in Japan for seven years. That was about 20 years ago. Keep Painting it is very inspiring!
Best to you,
Bruce
はじめまして。
コメントをありがとうございます、光栄です。
あなたのWebサイトを拝見しました。
とても素晴らしい感性で、大きなアートの仕事をしていますね。
尊敬します!
どうもありがとうございました。
izumi
すごいきれいです!
わたしは犬が好きで大学では動物のまっすぐな気持ちを描いて行きたいと考えています!
高校3年の頃やっておいたほうがいいことなどはありますか。
manamiさん、コメントありがとうございます。
犬を描き始めたのはここ数年のことですが、この記事で書き綴った通り、彼らの外見の美しさを追い求めていた頃よりも、犬たちに触れ彼らの思いや視線の先を感じられるようになってからはじめて、描きたかったものを手にした感覚がありました。
manamiさんの、「犬が好き。動物の気持ちを描きたい」という犬に向けた思いがあることが、シンプルに一番重要なことだと思います。
私は高校三年生のころ、寝ても覚めても石膏デッサンばかりでしたが、基礎力は、将来きっとつよい味方になってくれます^^
子供のころからボルゾイだけが私の心の犬です。これまで5頭のボルゾイと人生/犬生を共してきました。ボルゾイの本質を描いてくれるあなたに感謝します。